命懸けの紅葉狩り

東京から鎌倉に引っ越したのがちょうど紅葉シーズンだったので、せっかくだからと早起きして、有名な獅子舞の紅葉を撮りに出かけたことがありました。

ハイキングコースの中にあるので、気軽に行けるのだろうと何も考えずにふらっと出かけた自分が悪いけれど、前日降っていた雨のせいで早朝の山道はまだぬかるんでいて、進むにつれ足場が悪くなり、(そうか昨日雨降ったなぁ)と呑気に思いながら誰にも会うことなく山道を進む私。

少しづつ傾斜のある山道になっていき、足が沈んでしまうようなドロドロのぬかるみになり始めて、あれちょっとまずいかも…と焦りながら、いやしかしこの道を下って引き返すのもかなり危険なのではないか…という恐怖で戻る勇気も出ない。

(今ここで谷側に滑り落ちたら、誰にも気づかれずに死ぬぞ、引っ越してきたばかりなのに)

と初めて命の危険を感じながら、もう進むしかないと必死で登って行ったら、どこからか「キャー!!」と、明らかに複数の女性が足を滑らせているであろう悲鳴(楽しげ)が何度も聞こえてきて、え、この先もまだまだそんな感じですか!?と絶望にかられながらも、良かったみんな滑ってる、と謎に安心して、かすかな悲鳴をBGMに這うように進みました。

幸い滑ることなくやっとのことでぬかるんだ山道を抜け、ちらほらと人の姿がある開けた場所にでて、獅子舞の紅葉にもたどり着いたけれど、もう魂が抜けたみたいに疲れ切ってしまって、朝から命懸けで何をやっているんだ私は、と早々に山を下りました。

帰りがけにお世話になっているお店に立ち寄ったものの、ふと自分の足元を見たらドロドロの泥だらけの泥んこで、うわこれは汚したら申し訳ない、とそそくさと退散し、キラキラと楽しそうな観光客の中を泥んこ姿で家に帰り、朝から充実した1日になるはずだった休日は、ただ汚れただけで終了。

色んな意味で思い出深い紅葉狩りです。

みなさまどうぞ良い紅葉シーズンを。